雨の匂いの正体【1分で読める論文紹介】
「雨の日が楽しくなる方法」
結論から言うと、雨の匂いの原因は
雨粒が地面に落ちた時、とても小さな水の微小粒子を空中に巻き上げる
というものです(下図)。この微小粒子が風に乗って運ばれることで、あの雨の匂いが生まれます。
予想通りだと感じる人もいるかもしれませんが、それを客観的なデータに基づいて証明するのが科学者の仕事です。
実際、1964年にオーストラリアの研究者によって、この雨の匂いがペトリコール(petrichor)と名付けられて以来、今日までその具体的な発生メカニズムは解明されていませんでした。
この長年の疑問を解決するために、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が高速度カメラを用いて液滴の落下・衝突過程を詳細に観察しました(上図)。
この研究成果は今年の1月に科学論文誌「Nature Communications」に発表されています。
研究グループによると、発生した微小粒子には地面からの芳香成分だけでなく、ウイルスやバクテリアなども含まれている可能性があるとのことです。
彼らは次の研究として、大腸菌などの汚染物質が雨によって拡散されるかどうかを調べているようです。
日常にある些細な現象について真剣に研究することで、私たちに恩恵がもたらされる(かもしれない)という良い例です。
「雨の科学」に興味を持つことで、雨の日がより楽しく豊かなものになるかもしれませんね。
▼実験の動画を観たい方はこちらをどうぞ。(解説は英語です)
Source:
1. Rainfall can release aerosols, study finds | MIT News
2. BBC - Earth - How the smell of rain happens
Reference:
1. Y. S. Joung et al., Nature Communications (2015).
Aerosol generation by raindrop impact on soil : Nature Communications : Nature Publishing Group